この記事で解決できること

「子どもが何か習い事を始めたいと言ってるけど、何がいいの?」「運動系も色々あるけど、何がいいの?」「どうやって選べばいいの?」という保護者の疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 小学生に人気の習い事
  • 習い事を選ぶときに大切な3つのポイント
  • 運動系習い事の比較:水泳・サッカー・体操・ダンス・野球
  • 習い事選びのまとめ(親としての関わり方も含めて)

本記事では、体育系大学で教育について学び教員免許を取得した筆者が、スポーツ×教育の観点で見た、「運動系」習い事を、身に付く能力や特徴について比較します。

小学生に人気の習い事

ある調査によれば、主な選択肢として「水泳」が1位となっています。運動系では「サッカー」や「体操」の習い事も根強く人気です。
また、最近では「運動系」が伸びており、「野球」や「ダンス」などの習い事も注目されています。

現役の先生などとお話しさせていただくと、運動系の習い事が伸びている理由として、
新型コロナウイルスが流行した時代に制限されてきた身体的な活動を取り戻そうとしたり、そこで未獲得だった発達を取り戻そうという動きによる要因があるように思います。

もちろん運動系以外にも魅力的な習い事が多くあることは存じておりますが、
本記事では、運動系の習い事に限定して、特徴を比較したいと思います。

習い事を選ぶときに大切な3つのポイント

習い事を決める際に、特に意識してほしいポイントを整理します。

(1) 子どもの「興味・性格・ペース」に合っているか

ここが一番重要かなと思います。まさに「好きこそ物の上手なれ」。習い事を楽しめるかどうかはまず「興味を持てるか」が大きな鍵です。
同じスポーツの習い事でも、例えば性格が内向的なら個人レッスン系、外向的ならチームスポーツ・集団レッスンというように、お子様の傾向に合わせてあげることで興味を持ってもらえることもあります。

(2) 継続しやすい環境かどうか

習い事は継続が重要です。送迎・曜日・費用・体験レッスンなど「続けられるか」をリアルに考えて選ぶと、入会後のモチベーション維持につながります。お子様だけでなくご両親やご家族にとっても継続しやすいかどうかは重要なポイントです。

(3) 習い事で身につく“力”を意識する

ただ「上手になる」ことだけでなく、「協調性」「集中力」「体力」「表現力」など、将来にもつながる力が身につく習い事を選べると理想的です。
筆者はこのポイントを大切にしており、運動系習い事の一番のメリットはこれだと思っています。
技術が上達することはもちろんですが、スポーツを通じて学んだことの中に、日々の勉強や社会生活に活きることが沢山あると思っています。

運動系習い事の比較:水泳・サッカー・体操・ダンス・野球

運動系の習い事と一言でいっても、スポーツによってそれぞれ特徴や合うタイプが異なります。
ここでは体育系大学で教育について学び教員免許を取得した筆者が、スポーツ×教育の観点で、人気の「運動系習い事」を5つを比較してみます。

水泳

水泳の特徴

水泳は全身運動・体幹・肺活量が鍛えられ、あらゆるスポーツの基礎になると言われており、カラダが強くなるイメージを持たれているようです。
また、「泳ぐ」という技術自体が、水泳でしか身に付けられないという特徴があるので人気があり、習い事デビューにも向いています。

水泳の魅力

①身に付く結果がわかりやすい

水泳は先述の通り、習わせる事で得られる結果(泳げるようになる)が最もわかりやすい習い事の一つだと思います。人気の理由もこれが大きいのではないかな。と考えています。

②身体の使い方をバランスよく覚えられる

泳ぐことはカラダ全体を使います。速く、効率的に泳ぐためには水の抵抗を減らさなくてはならず、そのためには体幹はもちろんですが、手の先、足の先まで意識して動かす必要があります。左右の腕をバランスよく動かすことも求められますし、呼吸やバタ足などのリズムも大切。
手の先や足の先まで器用に動かせるようになることは、幼少期のお子様にとっては結構難しいです。バランスよく運動の基礎が身に付き、他の習い事にも活きてきます。

③試合の結果がはっきりしている

競技としては水泳は陸上競技に近く、個人の勝ち負けがはっきりとわかりやすいです。単純にタイムが速い人の勝ちです。特に小学校年代はカラダの成長度合いによる差が顕著に結果に現れやすいスポーツだと思います。負けず嫌いの競技志向が強いお子様か、勝ち負けではなく泳ぐこと自体が好きというお子様に向いていると思います。

サッカー

サッカーの特徴

サッカーは、ボールを追いかけ走るため運動量が多く、仲間との連携を学びやすいスポーツだと言われています。
また、楽しみ志向のスクールから、競技志向の高い技術向上目的のスクールまで、同一エリア内に複数のスクールが存在することも珍しくないため、各自のレベルに合ったスクールを選びやすい習い事だと思います。

サッカーの魅力

①走りながら考えるチカラが身につく

サッカーの試合では、自分にボールが周ってきたとき、いちいち足下でボールを止め、次のプレーを考えてから行動する。という時間はありません。
ポジションへ動きながら、自分にボールがくる前に情報を処理して、瞬時に次の動きを選択して行動することが求められます。
「走りながら考える」これはとても重要な能力で、実は筆者がこの言葉に出会ったのは社会人になってからで、某大企業に就職したときでした。この走りながら考えるという能力はサッカーやバスケなど、常に流動的なスポーツをやることで身につきやすくなると思います。

②自主性とコミュニケーション能力が育つ

サッカーのフィールドは他の競技と比べて広く、ゲームが止まりにくいです。その為、指導者の指示がいつでも出せるわけではありません。試合中に起こる出来事に自分たちで対処しなければなりません。仲間と声を掛け合い、連携する必要が生まれるため、自分の考えを話したり、チームで意思決定していく過程を学ぶことができます。

③日常であまり使わない足の感覚を鍛えられる

当たり前のようですが、ドリブルやシュートなど、基本的な技術から細かな技術までサッカーは足を器用に使うことが求められるスポーツです。足で球を扱うのはサッカーならではの動きで、足の感覚が器用になります。この感覚は走ることはもちろんですが、運動能力の向上に役立ちます。

体操

体操の特徴

体操は、マットや鉄棒、跳び箱などを通して、自分のカラダの動かし方を学ぶことに長けています。水泳と同じように運動の基礎づくりとしても人気です。
また、そのようなカラダの動かし方に合わせて、「音楽」の要素を追加しリズム感や協調性の獲得を目指す「リトミック」という習い事も人気になっています。

体操の魅力

①自分のカラダの動かし方がわかる

小学生にとっては、自分のカラダを思うように扱うことも簡単ではありません。体操の習い事でその能力を早めに取得することで、いわゆる「運動神経」の向上が見込めます。カラダが地面に真っ直ぐの時、頭、腰、足はどの位置にあるのか。なかなか自分ではわかりにくいものです。この感覚を身につけて、自分のフォームが客観的に見れるようになることは他のスポーツの能力向上にも役に立ちます。

②競争の要素が少ない

小学生の習い事としては体操は他者と競うという要素が少ないスポーツといえます。基本は自分との戦いで、今までできなかったワザができるようになったり、自分と向き合うことが得意なお子様に向いています。

集中力が身につきやすい

体操・リトミックは、ワザごとに一回一回集中が求められたり、音に合わせてカラダを動かすことで短期的な集中力を高めることができます。集中力を鍛えることで、自分自身で意図的に集中をコントロールできるようになることで、合わせて注意力も向上します。

ダンス

ダンスの特徴

ダンスは、音楽・リズム・自己表現などの運動+芸術的な側面があり、特に表現力を伸ばしたい子に人気の習い事です。単なる習い事の枠を超えて、特に今流行のHIPHOPダンスなどのジャンルでは、髪色やファッションなどにまで影響を与えることもあるようです。

ダンスの魅力

①自己表現などの芸術的な能力が身につく

ダンスは「身体表現」とも言われることもあり、リズム感の取得はもちろんですが、踊る事を通じて自己を表現できる芸術的な能力が身についていきます。音楽や歌詞の意味を自身で考えてみたり、その気持ちを身体で表現するにはどのような動きをするべきか。を考えていけるようになります。

②人前での発表会スタイル

ダンスの習い事を始めると、多くの場合成果を発表する発表会が用意されていることが多いです。人前でダンスを発表することで、度胸がついたり、その経験が自信に繋がっていき、積極的な人間性を育むことができます。日常生活でも自分の意見が言えるようになったりしていくことが期待できます。

③自由度が高い

ダンスは文化でもあります。競い合う競争をするもあり。共に作る共創もあり。ひとりで踊る事も、仲間と踊る事もできます。周りに合わせる必要もないですが、周りのペースを認めることも求められます。この様な文化的側面が最近の風潮とマッチしていることが、ダンス人気に繋がっていると筆者は考えています。
自由を学ぶことは、自分と違う価値観を認められる人間になることでもあり、その能力は多様性を求める社会でとても大切な考え方だと思います。

野球

野球の特徴

野球はチームスポーツでありながら個人が成長する実感を得やすいスポーツです。昔は野球=少年団などで、一部のスポーツ大好きな人だけのものというイメージがありましたが、時代と共に変わり始めて、近年の大谷翔平さんの活躍や、WBC優勝などにより、野球をやってみたい人が参加できる初心者歓迎のクラスが増えています。
また、実は運動が苦手な子にもオススメなスポーツだと筆者は思います。

野球の魅力

①みんなにスポットライトが当たる

野球はチームスポーツですが、個人競技の側面もあります。例えば攻撃時は、1人ずつ平等に出番が周ってきます。一部の運動が得意な子だけで完結せず、試合に出ている全員が順番に打席に立ち、注目を浴びることになります。緊張を乗り越えて人前に出て、小さな成功体験を積み重ねることが、お子様の自信に繋がっていきます。

②協調性や集中力、論理的思考能力が身につく

野球は一回一回プレーが止まります。その都度、監督からの指示が出たり、仲間同士で次起こりそうなことについて声を掛け合うことができます。最初に運動が苦手な子にもオススメと書いたのはこの点で、考えることが苦手でも味方からの指示を聞いて動くことができます。指示が得意な人には指示が得意な人向きのポジションがあります。大きな成果を出すために、適材適所、仲間と協力しながら今自分がどう動くべきかを考える姿勢は、社会に出て、組織に属した時に非常に有効なチカラになると考えます。

③物を扱う能力が高くなる

野球は他の競技に比べ使用する道具が多いです。バットを使ってボールを打ったり、グローブを使ってボールを捕るという動きは野球ならではの技術で、カラダの動かし方だけでなく物を扱う能力を獲得できます。これも小学生にとっては難しい技術ですが、道具を使った練習を通じて、カラダだけでは身につかない能力が身につくだけでなく、物を大切に扱うことや、安全に配慮することを学んでいきます。

このように運動系の習い事でも、それぞれを比較するとそれぞれに特徴があります。ご家庭の事情もあると思いますが、複数の習い事を掛け持ちすることもオススメです。
その他、それぞれの習い事にそのような特徴があることを正しく理解して、お子様の可能性を伸ばそうとしてくれる指導者がいることも選ぶにあたって重要なポイントになると思います。

習い事選びのまとめ(親としての関わり方も含めて)

  • 「まずは体験」を活用:感触・雰囲気・お子様の反応を見て判断するのがベスト
  • 年齢・性格・興味・家庭環境を総合して選びましょう。「人気だから」「友達が通ってるから」ではなく、お子様に合った場所を。
  • 習い事を通じて「できた!」を積み重ねられそうかを確認しましょう
  • 家でも「どうだった?」と子どもと会話することも有効です
  • 「習い事」としてのスポーツにおいては、指導者が正しい教育知識を持っているかも大切です。

習い事は「お子様がこれから何を得たいか」「親としてどう関わるか」を起点に選ぶと、長く続けやすく、成果も出やすいです。
運動系・学習系どちらも魅力がありますが、今回は運動系の習い事について解説させていただきました。